コラム033|玄関の庇もデザインの一部

コラム
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玄関の庇の必要性は

シンプルな箱形の建築に、申し訳程度の薄い庇が付いただけの玄関はスッキリとした建物のデザインになりますが、毎日の生活で不自由はないでしょうか。玄関は、人や物の出入口なので、内部空間と外部空間の接点となり、玄関ポーチはその接点で緩衝地帯となる部分です。北陸地方では雪や雨の天候が多いため、庇のある玄関ポーチは大切な空間です。

庇や玄関ポーチの出っ張りが、取って付けたようにならないように、ポーチの庇を屋根と一体化して、建物ボリュームを削った屋根の下を玄関ポーチとすれば全体の形態を崩さずに計画することができます。ゆったりとした大屋根の下から玄関に入るのは安心感があります。

南砺市の家 玄関ポーチ

 

東山の家2では、ポーチの庇と隣地側の防火袖壁を一体させて、L型に連続した先端を亜鉛メッキの細い鉄骨で縁取りして、シャープな見掛りとしています。薄く見える先端から建物ボリュームに食い込み、より深い庇の空間をつくっています。

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郊外に建つ住宅の場合、周りに風を遮るものが少ないため、田園の二世帯住宅では玄関ポーチを壁で囲い、開口部の隙間から入るようにしています。囲まれた空間ですが、壁のスリット開口からの光と、4帖分の広さ、玄関ドア両脇のフロストガラスの開口部によって閉鎖的にならないようにしています。

田園の二世帯住宅 玄関ポーチ

 

商業建築にも庇は必要

住宅に限らず、店舗においても庇空間があると便利です。かわさき画材では、建物の間口いっぱい庇で覆っています。岩絵の具のディスプレイが映えるように額縁のように縁取ったというデザイン意図もありますが、絵画のキャンバスやボードなど大きな商品や、湿気に敏感な画材等は車を建物に横付けして直接搬出入できるようにしています。

かわさき画材 玄関ポーチ

デザインのみで建物の形態を決めると、結局、庇や風除室などを後付けすることになるかもしれません。最初から風雨を防ぐこともデザインの一部です。

形のデザインだけではなく、機能のデザインも必要です。